砂漠の夜明け。カバルドンの排砂穴から、ゆっくりと砂が吐き出された。湿った空気と共に、大きめの石がごろりと穴に詰まる。 それを見計らったように、イシズマイが一匹、石のもとへと歩いてくる。砂を払い、隙間を整え、小枝を運んで巣を仕立てる。 この地では、誰もそれを不思議とは思わない。それが、いつもの営みだから。 日が高くなれば、捕食者の影が忍び寄る。トゲのある尾を引きずりながら、サメハダーが干上がった川底を這う。イシズマイは逃げることもできず、巣に身を縮める。 砂が鳴る。重い音が響いた。 現れたのは、カバルドンだった。巣のある石を背に、前足を地に突き刺し、動かぬ壁のように立つ。咆哮一つで、敵は砂煙の中へと消えた。 イシズマイは何も言わない。だが、その爪は翌朝もまた、排砂穴をせっせと掃除していた。 重きものと小さきもの。言葉なく交わる、静かな約束がそこにある。
砂漠の夜明け。カバルドンの排砂穴から、ゆっくりと砂が吐き出された。湿った空気と共に、大きめの石がごろりと穴に詰まる。
それを見計らったように、イシズマイが一匹、石のもとへと歩いてくる。砂を払い、隙間を整え、小枝を運んで巣を仕立てる。
この地では、誰もそれを不思議とは思わない。
それが、いつもの営みだから。
日が高くなれば、捕食者の影が忍び寄る。トゲのある尾を引きずりながら、サメハダーが干上がった川底を這う。イシズマイは逃げることもできず、巣に身を縮める。
砂が鳴る。重い音が響いた。
現れたのは、カバルドンだった。巣のある石を背に、前足を地に突き刺し、動かぬ壁のように立つ。咆哮一つで、敵は砂煙の中へと消えた。
イシズマイは何も言わない。だが、その爪は翌朝もまた、排砂穴をせっせと掃除していた。
重きものと小さきもの。
言葉なく交わる、静かな約束がそこにある。